このブログを書かなくなってからちょうど1カ月が経過した。世の中少しは落ち着いてきたのかと思いきや、福島第一原発は好転が見られず、レベル7にまで引き上げられてしまった。余震は続き、一昨日は横浜でも「おー」と思わず声が漏れるくらいの揺れを感じた。雪が舞っていた東北地方は、15度前後まで暖かくなったようで、仙台も桜が満開になっているという。せっかく新幹線が開通したのに、東北に観光旅行に行く人は少なそうだ。自粛、自粛でどんどん景気ばかりか、気分が暗くなる。 

 それでも3月末に久しぶりに門前仲町の「魚三酒場」に夕方4時から出かけた。ずーと飲んでいなかった上、3年ぶりくらいに旧知の元刑事と会う約束をしたからだった。親しいディレクターから、ベストセラー作家の刑事もののドラマ化で、実際の警察世界と台本との違いを指摘して欲しいという依頼があったためだ。私が警視庁を担当していたのは、1982年~3年で、それも第五方面、捜査二課・四課しかやっておらず、覚せい剤事件などは鹿児島時代の取材経験しかない。そこでS谷署刑事課長も経験したことがある元捜査二課刑事に登場願ったわけだ。

  「覚せい剤事件の90%以上は性的な理由で、むしゃくしゃしてなんてことはないし、高校生がそう簡単に手に入るものではない」と一刀両断。「同じキャリア同士で同期とはいえ、警察庁の幹部が、警視庁を訪ねてくることはない」など細かな説明を聞きながら飲むのは、台本や原作を読むよりも面白かった。

 私もノンフィクションを書くときは、現地に出かけて当時から住んでいる人たちに情景描写も合わせてインタビューして回る。さらに当時の写真を探したり、風景画にもあたる。そのうえで、書いた草稿に目を通してもらって、あの当時が再現できているかどうかを確認するという手法を取っている。拙著『消えた警官』の時も、地元の住人たちばかりか、当時のバス路線の運転士さんをバス会社の方が見つけてくれて、詳細な風景を蘇らせることができた。同様に元刑事の話は、私自身の取材にも大いに参考になった。 

 それにしても「魚三酒場」は美味いうえに安くて、しかも何年と変わらず無愛想なおばさんが切り盛りしていて、変に安心する。2人で3150円だった。(こういう自慢は嬉し楽し)ビール生ジョッキ2杯、日本酒コップ6杯(氏は余りお酒を飲まないのでビール1杯、あとは私ばかり)、中トロ、中落ち、うに、アナゴ、あとイカか何か頼んだと思う。どう計算したらあんな数字になるんだろう、安すぎない?それにしてもあのザワザワした感じ、下町の空気が全身に感じられてなんとも言えない。門仲はいいな。住むならあの界隈か、母の実家のあった蛎殻町、明治座辺りがいいな、無理だけど。(4月14日)